膵臓移植実施のガイドライン

膵臓移植の適応基準
(移植関係学会合同委員会 膵臓移植特別委員会
 :平成10年4月20日、平成28年11月17日 一部改訂)
1. 対象
膵臓同時移植・腎移植後膵臓移植の対象は以下の(1)、膵臓単独移植の対象は以下の(2)に該当するものであり、かつ、該当者が居住する地域の適応委員会において長期間にわたる臨床データおよび臨床検査をもとに、適応ありと判定されたものとする。なお、レシピエントの評価をする際には、心血管機能と腎機能に十分配慮する必要がある。

(1) 腎不全に陥った糖尿病患者であること。
臨床的に腎臓移植の適応がありかつ内因性インスリン分泌が著しく低下しており、移植医療の十分な効能を得る上では膵腎両臓器の移植が望ましいもの。
患者はすでに腎臓移植を受けていてもよいし、腎臓移植と同時に膵臓移植を受けるものでもよい。
(2) IDDM患者で、糖尿病学会認定医によるインスリンを用いたあらゆる治療手段によっても血糖値が不安定であり、代謝コントロールが極めて困難な状態が長期にわたり持続しているもの。
本例に膵臓単独移植を考慮する場合もあり得る。

2. 年齢
年齢は原則として60才以下が望ましい。

3. 合併症または併存症による制限
(1) 糖尿病性網膜症で進行が予測される場合は、眼科的対策を優先する。
(2) 活動性の感染症、活動性の肝機能障害、活動性の消化性潰瘍。
(3) 悪性腫瘍
悪性腫瘍の治療終了後少なくとも5年経過し、この間に再発の徴候がなく、根治していると判断される場合は禁忌としない。
(4) その他
膵臓移植地域適応検討委員会が移植治療に不適当と判断したものも対象としない。

地域とは、日本臓器移植ネットワークが全国をブロックに分割する地域を単位とする。